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2007年9月18日 (火)

韓国の農家のオモニと仰木の稲刈り

9月16日(日) 滋賀県大津市仰木 平尾地区の棚田の稲刈り。


韓国の農家には「憎い嫁は秋の日差しにさらせ」という言葉があるそうです。

日本の「秋ナスは嫁に食わすな」という言葉。
嫁を思いやる気持ちで言ってるねんで、という解釈もありますが、、、多分、違うと思う。。。

ひええ、こっわーーー。古今東西嫁姑の不穏な関係はどこも同じ。
そんなん考えたらコワあて結婚でけへんわー。

Cimg2160 草津の韓国料理店の韓国人店長さんに子供が生まれて、店のお手伝いに韓国からオモニ(お母さん)が来日。
韓国の南、全羅南道で農業をされているオモニは去年、ご主人を病気で亡くされました。
子供はみんなアメリカや日本、外国に出てしまい、オモニは昔なじみの地域の人々と助け合いながら一人暮らしをされています。

「稲刈りせなあかんのに、息子が帰してくれへんねん。。。」

そんなオモニを仰木の棚田の稲刈りに誘ってみました。

「オモニ、毎日遅くまで店にいるのに、たまの休みに疲れるやろ」という息子の心配をよそに、オモニは
「行く!!」。


言葉は通じなくても、店ではお客さんはみんなオモニが好きになります。
「イゴ、モゴ!(これ、食べ!!)」と、色々食べさせてくれるのですが、これじゃあ商売成り立たないでしょう、、、とお客が心配になるくらいです。

「私は、今まで商売とかしたことがないからね」とオモニ。

「舅や夫は、もっと楽でもうかる仕事もあるんだから町に出て商売でもしよう、と言ってたけど、私は「このまま農業をしていきましょう。私は土と一緒に生きていきます。」と、説得したの」

Cimg2169 オモニは日焼けして、背筋がピンとのびて、二の腕や肩はガッチリ筋肉がついてスポーツウーマンのようです。

稲刈りする田んぼに到着して、鎌を渡されたオモニは
「これは左利き用の鎌だから右手じゃ切れない。右利き用のをちょうだいよ」

え!?そうなんですか?鎌に右とか左とかあるなんて知らなかった。

なんとか、右利き用のを持っている方に換えてもらってオモニは猛然と稲を刈り始めました。
ワラで束ねるのにまごまごしている私に韓国式に束ねる方法を教えてくれました。
韓国では日本で束ねるよりもっと大きな束にして括ります。
以前、韓国の大学の先生に聞いた話では、日本より韓国の方が湿気が少ない為だということで、オモニは「こうやってくくるんだよ」、とワラを2束クルッとつないで両手いっぱいの稲をひょいひょい、とあっという間に束ねてしまいました。パワーが違う。。。。

稲を刈りながらオモニと色んな話をしました。
、、、ていうか、朝8時に会ってから、ずーーーーーーーっっと、切れ目なくオモニの独演会。私、合いの手が精一杯。
人生について、農業について、仰木の田んぼや稲について、あぜに生えてる植物について、韓国の政治について、家族について、近所の人について、食べ物について、、、泉のように話題が尽きません。

オモニが驚いたのは昼食をみんな各自持ってきて食べる事でした。
韓国だったら、みんなで広げて持ち寄りパーティにする、それか、その場でご飯を炊いて、焼き肉や鍋をみんなで囲んで食べるのに。。。。
分け合う事を最近の日本人は特に苦手にしている気がします。
みんなで食べる準備するのは大変。
自分持ってきた食べ物を人に勧める自信がない。。。。

韓国の人の食に対するどん欲さはすごい物があります。
準備なんてみんなでするので厭うほども考えません。みんなで食べる事が好きなんです。
「体にいい」という言葉が本当に好きです。
食べるときに、まるで押しつけるかのように「食べろ!」というのが親切心です。
自分が一人で食べてる弁当でさえ「半分食べるか?」というのが優しさです。
韓国と関わって17年になる私も最初はとまどいましたが、今ではその暖かさがわかります。
反対に、日本人が冷たいわけではないんだけど、相手に遠慮することを美徳とする日本人のそっけない優しさを韓国人を理解するのは難しかろうなぁ、、、と常々思います。

Cimg2179 午後、日差しはまさにジリジリと肌を焼きます。ああ、憎い嫁への仕打ちを独身のまま受けようとは。
最近、「お肌なんて、気を遣ってなんかいないよね!」と確信を持って言われますけど、
あったりまえでしょが!気にしてます!シミ、気にしてますってば!
けどさ、日焼け止め塗っても汗で流れるし、かといって日焼けに長袖着込むのも暑すぎる。。。気を遣いたくても遣えなく、仕方なく真っ黒になってます。

オモニ、お茶飲んで下さい、と水筒のお茶を差し出すと、
「あーー!マシイッタ(美味しい)!韓国ではキムチとマッコリ(どぶろく)を飲みながら農作業するんだよー。こういう疲れたときはサイコーーーに美味しいんだよ!!」
と、弾ける笑顔。

仰木の農家さんに話すと「(自分も)酒、好きやし、コレ(小指立て)も好き」。
小指をたてる意味が分からないオモニに「お酒も女性も好きなんですって」と伝える。
カラカラと笑う。
仰木の農家さんと並ぶと、なんだか、似てる。
オモニも「なんか、この人親近感感じるわ」
国や言葉は違っても同じ仕事をする人同士、通じる物が色々あるんだと思います。

Cimg2184 「あんた、すごいなー、ワシなんか(外国語)何もしゃべられへんわ」と、おっしゃる仰木の農家さん。
私、日本語の他にまともにしゃべられるのって韓国語だけ。それが、生業なんですし。
けれど、言葉が通じるからって仲良くできるワケじゃない。
本当に仲良くできるのは言葉さえ通じれば話したい事がいっぱいある人同士。
そのために通訳という仕事があるんです。
言葉の壁を私がつないで当人同士が普通に通じ合えるときが私はとてもうれしい。

オモニは今日、稲刈りしている田んぼの稲を見て「この稲は韓国では作ってない」とおっしゃっいました。
私にはどの稲も同じにしか見えない。
仰木の農家さんに聞くと「ここの土にあうように滋賀県独自で改良したモン」だとか。
ビンゴ!!
さすが!!

お店でオモニと話すときに農業の話などはしません。
今日、日韓の農家さん、棚田のオーナーさん達と一緒に稲を刈りながら、きっと、日本を身近に感じて下さったと思いますし、私もオモニが何十年もやってきた農業のプロフェッショナルぶりをトクと拝見できた気がしました。

ちなみに、帰ってから私はバタンキュー(古!!)でしたが、オモニは家族や常連のお客さん達とご飯を食べに行って美味しそうにマッコリを飲んだそうです。

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