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2009年4月12日 (日)

つたえる-つながる-つたえる-つながる・・・関口知宏 鉄道紀行 絵日記原画展

ワケも判らないうちにこのブログを引き受けて2年。(え!!早っ!)
滋賀の事も、農業も環境の事もほとんど知らないまま、まるで旅行日記のように書き継いで来て、最近ちょっと迷ってます。

日々の出来事だけを書いていくと去年、一昨年と同じ事を書いていくような気がする。

これまでは初めての感動の勢いで書いてました。
初めての農の現場。
初めて触れる滋賀の文化。
初めて知った滋賀の風土がはぐくんだ味。
初めての農作業。
沢山の市井のスゴイ人々と出会って、まだまだ尽きないほど学びたい事がある。
そしてこれからもまた沢山の人たちと出会うでしょう。
田舎でこんなにエキサイティングに日々楽しく過ごせるなんて思いませんでした。

ただ、2周回のシーズンを走るうちに自分の感性が怠けて来てるんじゃないかな、と感じるのです。


「関口知宏 鉄道紀行 絵日記原画展」という看板を湖岸で見かけて佐川美術館に行ってきました。滋賀に引っ越してきて10年、行こう行こうと思ってなぜか一度も行けてなかった美術館でした。(県立美術館やMIHOミュージアムやNO-MAミュージアムは何回も行ってるのに)

水鏡の中に浮かぶあまりに非日常な美しい建築に若干気後れしつつ入場。

二十代、三十代の私はバックパッカーで
2年ごとに仕事を辞めては荷物を担いでどこかの国に出かけていました。
色んな国で色んな事や人に会いました。
旅が私に与えてくれた物は計り知れません。
悪い事があった旅でさえも。

テレビの中でいつも列車に乗っていた関口知宏さん。
「いいなー」と同時に「こんな旅、絶対ムリ。過酷すぎ」と画面には映らない所のご苦労を勝手に想像しては居たたまれなくなり、番組を最初から最後まで見通した事がありません。

私の旅も中国、ヨーロッパ、インド、東南アジア、ほとんど列車移動です。
でも、乗ってみたら判るけど、列車にあんなに乗り続けるのは本当にしんどい事です。
かつて19才の若さでさえ2日続けて夜行列車に乗ったら十分に睡眠不足でフラフラ。
その後は「2日続けては乗らない」と決めて初めての見知らぬ国で夜になっても何が何でも泊まる宿を探し回りました。(駅の「出口」という言葉さえ分からなかったりする)

ある国では「○日遅れ」という掲示を見た時にはひっくりかえりそうでしたが、日本に帰って今まで何とも思わなかった「3分遅れております、誠に申しわけありません」というアナウンスに今では非常に圧迫感を感じるようになりました。

大小という意味でも、目盛りの幅という意味でも、「スケールがちがう」という事との出会いで初めて自分の「スケール」を発見することになる。
私にとってはその旅も3ヶ月が限度。
それ以上になると慣れから感動する事が少なくなり苦しみの旅に変わる。
働きたくて仕方なくなってしまう。
消費しかしない旅に耐えられなくなる。
働く事が自分が何かを表現したいという欲求なのかもしれない。
でも、会社勤めは2年もするとまた旅に帰りたくなってしまった。



関口知宏さんの世界の旅の記録は彼自身の内面への旅のような展示。


アナタは見た事、感じた事を絵に描く。文を書く(字がめっちゃキレイなん!)。
書を書いたり、音楽を演奏して人々と触れあう。
アナタはプロの画家じゃない(やんね?)
アナタはプロのミュージシャンじゃない(あれではもうプロと言うのかな)
アナタはプロの作家じゃない(あれだけ本が出てれば作家さんか)
アナタは俳優さんじゃなかったでしたっけ?(それも私は全く知らないんですが)
なのに、アナタの旅の記録はその全てが佐川美術館という舞台に見事に調和するパワーがあって、常設館の平山郁夫大画伯の絵が物足りないほどだった。

関口知宏さん、アナタ、天才じゃないだろか。

アナタの感性が切り出した一枚一枚の絵に私はとても感動したけれど、
私が同じ場にいてもきっと「泣いているような山」なんて私にはとうてい思い至らない。
私は絵も描けないし、ましてや音楽で表現するなんて才能に一切恵まれていない。
一週間に一回、パソコンでカチャカチャこのブログを書くだけでも四苦八苦だ。
しかも、自分の書いた物を読み返すと、どうしても命中しないダーツの様で
書き直しても書き直しても、自分が目指したい所を語ってくれる語彙に巡り会えない。


関口さんの旅はやたら期間が長いのに、感性はずっと瑞々しい。
どの絵日記にもハッとする。
関口さんの事をよく知らなくてもこの展示を見たらこの人スゴイ、と思う。
ものすごいパワーの表現者だ。

なんでそんな事できるの?

やっぱ、この人天才なんだろうなぁ。

そして、凡才のブログ担当のワタシ。
カナダやアメリカからも見てくれてる人があったり、農政局の人が情報集めに見てくれてたり(なんか参考になりますかね)、親はコレでワタシの安否確認をしていたり、ワタシが知らないところでも色んな人がこのブログを見てくれているようなのですが、
ワタシが表現する以上に滋賀はいいところ、素晴らしい人がいっぱいなんですよー、と今はそうお伝えするしかありません。

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