カテゴリー「滋賀の棚田」の記事

2009年6月 2日 (火)

春の樹木のなめらかお肌と桜の下の太市節@仰木

2009年4月11日 仰木
Cimg6697 2ヶ月過ぎの、いまさらなタイミングですが、
仰木の棚田の春のボランティア活動です。
この日のミッションは棚田の周囲の森に張り巡らす電柵用の杭にする木を切り出す事。
大変な作業ですよ。
イノシシ、猿、鹿を防ぐために急な斜面にも万里の長城のように杭を打って、電線を張る。

切り出した木は皮を剥きます。
木肌と皮の間に虫が湧くからです。
Cimg6700春の木は皮が剥きやすいと地元のオッチャン。
その通り、皮むきの道具のてこの原理でサクッ、パリパリとパイ皮のようにめくれます。
絞ったらジュースが出来そうなくらい
水分をたっぷり含んだ春の樹木のなめらかお肌。
まるで赤ちゃんのようです。
めくるたびに「うっわー!きれー!」と大騒ぎの私。
小学生のおにいちゃんは切った木を運ぶのに大活躍。

それにしても、地元の農家さん達は私よりずっとご高齢なCimg6716のに険しい斜面をサッサと歩いて木々の中に消えてゆき、チェーンソーの音が響いたと思いきやドンドンと切り出した木が斜面を滑り降りてきます。
人間つくづく年じゃないねぇ。
鍛え方の足りない若いモンはとうていついて行けません。

去年の春も雨だったし、秋の収穫祭も土砂降りだった。
守人の会始まって以来のうららかな満開の桜の下のお花見となりました。
歌が上手な太市さんや地元の皆さんが民謡で盛り上げてくれました。他の花見グループも聞き耳です。
いいですね。
こういう時にはフォークよりロックよりポップスよりも民謡がしっくり来ます。
あと何年かしたら太市さんの歌に三味線習いたて私が合わせましょうか。
その時まで太市さん、元気でいて下さいね。

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2008年11月28日 (金)

[お知らせ]棚田シンポジウム

20081120
◆第10回 棚田シンポジウム
 新しい棚田の価値――滋賀からおこす棚田を守る社会の風
 参加申込受付中!

棚田の持つ価値とは?新たな棚田保全活動の可能性とは?
今、改めて棚田を見つめ直すシンポジウムを開催します。


【日程】2008年12月20日(土)13:00〜16:15(受付12:30〜)
【参加費】参加無料(事前申込みが必要)
【定 員】130名先着順
【主催】滋賀県農政水産部農村振興課
【会場】草津商工会議所コミュニティーホール(1F)
     (JR草津駅東口からサンサン通りを国道1号線方面へ徒歩10分)
【詳細】http://www.pref.shiga.jp/hodo/e-shinbun/gh01/20081120.html

【内容】
    田んぼだいすきふるさと農村こども絵画コンクール表彰式

    基調講演:嘉田由紀子(滋賀県知事)
    「新しい棚田の価値」
    招待講演:木村和弘氏(信州大学)
    「棚田の保全―必要な取り組みと支援とは?」
    パネルディスカッション:
    「今後の棚田保全について、地域、企業、ボランティア、
    研究者、行政、5つの視点からの発信」
    コーディネーター:山田 國廣(京都精華大学)

【申し込み・問合せ先】
 NPO法人 木野環境 
 TEL075-751-0289/FAX075-751-0284
 Email:oubo@kino-eco.or.jp
 申込み時は氏名、住所、連絡先を明記の上、お申し込み下さい。

【特典】棚田米のサンプルをプレゼントします。

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2008年10月 6日 (月)

鳥の巣かふぇ

Cimg5473
2008年9月28日(日)

仰木の棚田。オーナーさんたちの脱穀の日。
2日前まで雨が降ってたけれど一日の晴れでハサガケした稲はすっかり乾いていました。
みんなで降ろして機械で脱穀。
穂先だけしごいてワラが束のままのこるのと、束を丸ごと飲み込んで、後ろから細かくなったワラを吐き出すのがありました。
細かいワラで咽せるのでタオルで鼻口を覆って、田んぼ中に広げていました。
ワラの山ができるとどうしてもやらずにはいられない。

パフッッ。。。。。。。!

Cimg5528アルプスの少女ハイジの「ワラのベッド」を思い出す。
お日様の匂いのするふかふかのワラの山。
そのうち真ん中を掘って鳥の巣のようにして4人の「元・少女」がナゴむ。
気持ちいいなぁー。
なんかここで飲み物飲みたいねぇ。
来年はお湯沸かしてカフェでもする?
オーナーさんたちとの春夏秋。
一ヶ月に1、2回顔を会わすけど名前も覚えきれないし、ゆっくりお話する機会もなかった。
童心に戻ってワラの鳥の巣の中で、急に連帯感発生。
来年は「鳥の巣かふぇー開店だー」
Cimg5514Cimg5470

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2008年9月25日 (木)

稲刈りの季節-農家の嫁失格

Cimg5380 2008年9月13日(土) 栗東

春に田植えをした中井さんとこの田んぼの稲刈り。

近所の走井では、今日は「こだわり滋賀ネットワーク」の援農隊が行っています。
だぶらなければ両方行きたかったのだけど

稲籾の山の中ではなんと、焼き芋を焼いています。
Cimg5332
稲を刈って、束にします。
たまげたイナゴがピョンピョン。
30代のM子ちゃんは子供の時「イナゴ、捕まえてきて」と言われて「は~い」と捕まえに行っていたとか。
意外と最近の事。。。ダヨネ?
今もそんな食生活は残っているだろうか。


稲を刈りながら脱穀をするのは。。。。
Cimg5333Cimg5363_3









オトコの浪漫。。。

バイクが好きな男の子みたいなものですね。
ドッドッドッとうなる発動機の音やオイルの臭い。
オッチャン達うれしそう。

Cimg5351

刈った稲を頭から機械につっこむと籾を摺り切ってくれます。
私もトライ。
しかし、思わず稲束が手から離れてしまい、大きな音を立てて詰まって、機械が止まってしまいました。

「農家の嫁、失格やな~」との声。

オホホ、( ´_ゝ`)ノボンジュール♪、
Cimg5367図らずもお箸より重いものを持った事ナイのがバレてしまいました。

昼ご飯はなんと、中井さんが他の田んぼを前もって刈って、この日のために炊いた新米ごはん!
多少働いたがそれを上回るエネルギー補給を止められず。

朝までの土砂降りがウソのような午後は日本晴れの秋空。

さて、私はこれから家に帰って着替えてから大阪に出かけて筋肉少女帯のライブ♪
明日は仰木の稲刈り。
「え~!?明日の朝、大丈夫?」という仰木の守人の会の方との電話に「大丈夫ですよ~」と楽勝こいたのに。。。。

約20年ぶりの縦ノリ★ハードロックで昔のままにハジけたら---
(=゜ω゜)ノ ♪oh~、ダメ ニンゲントシテ イキル オロカサヲ~、アマネク スベテノ~ ヒトニ~ツタエタイ~♪
翌朝、案の定?意外に?起きれナイ。(´△`)グッタリ・・・。o○
お昼から参加。

9月14日(日) 仰木

Cimg5375  暑 い 。 。 。
 
みんなが汗だくになって稲を刈っている間にコンビニでアイス食ってた私が言うのもなんですが。

昨日の栗東と違って、棚田の仰木は大型機械が入るところが限られるので、みんなで頑張って刈りきってハサガケしてしまわなければなりません。

Cimg5379去年は韓国人の農家のオモニと一緒に来たのを他の参加者の皆さんと思い出していました。
「すごかったよね~」
稲刈りは数えて4,5回目の私は、やってみてだんだん農家のおばちゃんのプロフェッショナルぶりを実感するようになりました。
年は何十才も若くてもあんな風にパワフルにサッサと美しい仕事ができないのです。
今年はオモニはいないけど、韓国で思い出して下さるといCimg5398いなぁ。

プロフェッショナルと言えば、仰木の農家さんの見惚れ技。
今回も稲を刈った後の田んぼに、はさがけする杭を打って、竿を通して稲を掛けます。
竿が足りないと杭をまた打って、竿を固定するのは稲ワラ。
一本の竹の竿にかかる重さは大変なものだと思うのですが、ワラをギュッと結んで杭と竿を結んだら、ザンザと稲を積んでいってもちゃ~んと固定されてます。
すごっ!!
Cimg5382 刈った稲を美しく、くくれるようになりたい。
でも、結び目で結び用のワラがくしゃっとなったり、緩かったりで、なかなかうまくいかない。
そこへ手動の稲刈り機。
押して歩くと、ダダダダダっと稲を刈って、ポポポポイと瞬時にくくった束を放ります。

あっけない。あっけなすぎる。

Cimg5401 
こうして時間通りに稲を刈ってハサガケが完成。

まだ暑いけど、夏過ぎて。
稲刈りの季節。
田んぼは空っぽ。
もう一年が終わった気分。

Cimg5402

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2008年5月21日 (水)

大戸洞舎 meets 仰木

Cimg2733湖北の大戸洞舎の松本さんが仰木の棚田オーナー田植えに参加されました。
将来の農業や地域活性化に同じく課題を抱える地域の農家さん同士、感じる所が色々おありだったのではないでしょうか。
他でおしゃべりしていたので直接お話を聞けてないのですが、大戸洞舎 meets 仰木の感想を松本さんがお寄せ下さいました。

仰木棚田守り人会主催「田植え」に参加して
                                          大戸洞舎  松本

おらが村にも棚田を作ろうか?と密かに思っている程、僕は、大の棚田ファンです。
あちこちの棚田を訪ねて、いつもその造形美に感動します。
棚田は自然と、その中での人々の生活が作り出した、稀有な協働の作品のように思います。
何年かかって作られたのか?
どういう思いで積み上げていかれたのか?
その労苦はいかほどのものだったのか?
この風景の中でどんな人心劇がくりかえされたのか?
拙い想像力で推し量ってみますが、棚田の美しさと長い時の重さに沈黙です。

いまこの棚田が危機で、なんとか保全できないものかと、どの地域でも苦慮されています。
生産効率が優先される経済の原理において、美しさはその原理の単位にはなりません。
作物を生産出来る面積(水平面=水田)とそれを支える面積(斜面=土手)が同じでは、はなしにもならないのです。
まして曲線美は不効率の極みです。
そんなところで、無駄としか思えない労力を使って食糧を作る必要があるのか?
山に帰して、やめたらどうですか?・・・と言った役人もいる。
そして、そんな分かりやすい原理に対抗すれば苦戦は火を見るより明らかです。

地元住民にもっと元気がでたら・・・と守り人会長は呟かれた。
「元気がでる」とは、もっと地域を愛し、棚田で生活することだろう。
棚田が荒廃すれば、地域がくずれる、そこの文化もなくなる。
無くなって何が悪いといわれれば、おそらく返事はできない。
寂しいだけだというしかないかもしれない。
現に無関心な住民も多く、守り人も高齢化している。

食べ物を作るということが、こんなにも軽んじられる社会が、豊かなのか、どうか?
僕には簡単に判断できません。
ただ効率最優先の考えが、僕らに充足を与えてくれるものではないということは、徐々に明らかになってきているように思います。もしその実感が確かなら、苦戦にも耐えうる可能性があるのではないか、と僕には思えます。

老若男女、たくさんの方々が田植えにきておられました。きっと想いは様々で、その参加がこれからの棚田保存にどう繋がっていくのかは未知数でしょう。しかし、そこに美(作ること、楽しむこと)という共通項が合意できれば、新しい生活スタイルによって棚田がこれからも活用されうるのではないか?そうあって欲しいと思いました。

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2008年5月12日 (月)

歴史を刻み続けるー仰木祭

連休明けの朝、家の外で「ワッショイ!ワーッショイ!」と鳥が鳴く。
どこかから逃げ出したオウムか九官鳥?と外に出て探しに出ると、電線の上で「ワッショイ!」
近寄ると「ガア!!」と飛んで逃げた、それはカラス。。。
県内どこでも春祭りのお神輿が出ているので聞き覚えたのでしょう。
古くからの地域ほど春祭りは大掛かり。
その上、農作業も今こそやらなければ!と、とっても忙しい時期。
ゴールデンウィークに家を離れて旅行などはとても考えられない田舎の春でした。

Cimg3932_32008年5月3日(土 憲法記念日)大津市 仰木平尾地区

国内外でだいたい2年に1度宿替えをしてきた流れ者の私は
滋賀に引っ越してきて近所の人々が20年も同じ所に住んでいる事にびっくり。
知り合いが増えるうちに滋賀の人はそれどころか、何世代も何世代も同じ所に住んでいる。
仰木に至っては1000年以上も前の出来事で未だに仲違いしたり、結婚を許さなかったり。。
故郷の歴史に「源氏平家」が今も生き生きと語られる現場で一族を繋ぐ者として生きるという、私が出会った事のない生き方が仰木にはありました。

Cimg3905仰木祭は大人から子供までみんなに役割がありました。
1000年以上も世代世代の役割をこなし、親兄弟の役割を観ながら村の文化が形成されているのでした。
だから、昔ながらの衣装を身に着けても、まるで毎日着ているかのようにしっくり似合っている。
若い人がワラジの結び方がわからないと年配のベテランが教えてくれる。

私の実家の団地の盆踊りには小学生の時には出店におもちゃやお菓子を買うだけで踊りの輪には嫌々ちょっと入る程度。
中高生になるとほとんど行かない。
「祭る」思想、語られて来た歴史、共通のリズムやメロディ、を持ち得ていない新興の団地。

こうして一日を仰木で過ごすだけでも、まず仰木太鼓を誰もが叩ける事が祭の当事者感を強くしているんだと思いました。故郷のリズムを自分の体が刻める限り、仰木の祭はこれから1000年だって続く事ができる。

お祭りの日には村のお家がお客さんをおもてなし。
「うちにも寄ってや」。と顔見知りを見るとお誘い。
寄らせていただいた農家さんのお家には何日分の?と思う程大量のごちそう。
うひょー。
Cimg3894Cimg3895Cimg3900






村の道路を通行止めにして午後から行われた村の歴史のストーリーにのっとった行事はどれも見物でした。
が、私が特にびっくらこんだった事。


Cimg3904




<着物>
稚児のお母さんは訪問着。着物好きな私はうっすら「着物着て行こうかなぁ」と思ったのでした。
この日は天気もよく、暑いくらいで5月とはいえ、もう単衣でもいいかなぁー、袷なんて汗みどろで着てらんねぇ。綿麻の単衣で軽く行こうかなぁー、と思いつつ、結局、時間がなくて洋服で行ったのですが、、、

あー、そんなん着ていかなくてよかったーーーー

なんと、見物のお嬢さんは振り袖。
お正月でもないのに、成人式でもないのに、なぜに?
それだけのお祭りの格だということなのでしょうね。。
「格」なんて、ちゃらんぽらんな私はとっても苦手なんですが、うひょー。
失礼な事になる所だった。。。

しかも、行事で稚児の手を引いたお母さんは道路を3回半のダッシュ。
ちょっとした陸上競技を訪問着姿でしている感。タマゲました。
速かったです。
私なら転けます。

Cimg3971<お馬さん>
「馬駈」という行事でお馬さんが道路を駆け抜ける。
一度駆け抜け戻って行って、二度目は現れなかった。
なんと、、、崖と言うか、道から低くなってる家の敷地に落ちて負傷。
気を失った可哀想なお馬ちゃんは不幸中の幸い、骨折はしなかったようです。

<弾ける西村さん>
守人の会の会長の西村さんは普段とっても腰の低い、物静かな、優しく、素朴な方。
その西村さんがこの日は「仰木で一番の酔っぱらってた男」。
とっても陽気に弾ける西村さんに付き合って飲んだ若いおニイさんは酔いつぶれてダウン。
私は飲めませんが、お客さん達と一緒にお酒を飲みながら、とっても嬉しそう。
夕方、千鳥足でたいまつをかついで行かれました。
それでも重いたいまつをシャンと運ぶ足腰はさすがです。

Cimg3985最後にたいまつとお神輿は小椋神社に帰ります。
水の張った田んぼの脇。暗闇の中、松明とお神輿、そして太鼓の音。
祭りの装束が続き、時代をさかのぼったような幻想的な風景でした。

とってもステキな仰木祭。
来年もぜひ伺いたいです。

Cimg3990ちなみに、翌日は穴太の麦の家で田植え。
近江神宮の神官さんにより今年の豊作を祈願。
「何時代に生きているのだろう。。。」と思うなかなか面白い2日間でした。

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2008年5月 1日 (木)

仰木棚田オーナーのお米の勉強

2008年4月27日(日) 大津市仰木

Cimg3769今年、初めて守人の会のメンバーとして仰木の棚田の田植えに参加させていただく事になりました。
棚田オーナー制度の実施する側も試行錯誤だそうで、去年はいきなり田んぼで「はい、どうぞ」と実践から始まったそうです。
今年は初めての試みで事前にお米づくりの全体像を学ぶ事になりました。。
オーナー希望者の数が心配されてましたが、まずまず集まり、更に当日にも決めかねて参加した人も。

「私は学も無いし… 」と、おっしゃる地元の農家の辻晋一さん。
聞いているうちに思いました。「これが学でなくて何が学だろう」
それに辻さんはじめ、仰木の農家さんたち、みーんな、お話がとっても面白くてお上手。
聞いてて、全く飽きる事のない素晴らしい先生でした。
Cimg3773
土と水、雨風、太陽が米を育てるとはいえ、「おいしいお米」を作るのは農家さんの職人技。
その過程の細やかな事。日本らしい美意識の原点は田んぼなのかも知れません。

あぜを土で塗り固めて水が漏れないようにする「あぜ塗り」という過程は「左官仕事のようにツルツルに」。

知らないけど、例えばアメリカのお米づくりでこんな丁寧な事は考えられないのではないでしょうか。
そして害虫や雑草、この頃は鹿、イノシシ、猿、なんかとも黙々と戦わなくてはなりません。
実りの秋に新米を手に入れるまではひたすら自然の声を聞き、逆らわず、怠けず。

「いやー、ちょっと、都合が付かないので、そこは何とかお願いできませんかねぇ。。。。」なんてごまかしを自然は決して受け入れないのです。。

「量産はできません。量産しようとすると質が下がります」
その言葉に学校で習った宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」が思い浮かびました。
美味しいと、米が特に誉められもしない位美味しい事が普通である事の裏にはこんな農民の姿があるのでしょう。

『慾ハナク

決シテ瞋ラズ

イツモシヅカニワラツテヰル』

Cimg3781講義の後は、いよいよオーナー田を決定するためオーナーさん達は田んぼにお出かけ。
その間に、守人の会のメンバーでおにぎりを握りました。
会長の西村さんの奥さんが炊いておいて下さった棚田のご飯。
大きな釜で炊いたふかふかのご飯をおにぎり型に詰めてから握る。
「これ(おにぎり型)も進化してるんだろうねぇ」
ごはんの国だからこそ、こういう小さな所への心遣いにも変化が。
そんな所にこそ「日本」があるんだと思うのです。

「お米に小さな黒い点がついてるやろ?」
おにぎり握りながら地元の村上さんが教えてくれました。
稲の出来始めの頃にカメムシが籾に穴をあけて汁を吸った跡が黒い点となって米粒に残るのだそうです。
減農薬をやるとどうしてもそういう米粒も出来てしまう。
完全に駆除すればシミ一つないお米はできる、けれど。

Cimg3783
ふかふかのおにぎりは塩だけでにぎる。
おかずは会長の西村さんの奥さん手作りのお漬け物やフキ味噌。
滋味と香りのシンプルな「日本の飯」。

今からそんなお米を今から一緒に作って行くのです。
量よりも質を大事に。
手間を惜しまず。汗を厭わず。


「ミンナニデクノボウトヨバレ

ホメラレモセズ

クニモサレズ

サウイフモノニ

ワタシハ

ナリタイ」

Cimg3775Cimg3777

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2008年4月29日 (火)

仰木ーー棚田の仕事始め’08

2008年4月20日(日)  @大津市仰木
Cimg3737私、どらここは「仰木守人の会」に入会して、今年も仰木の棚田ボランティアに参加しています。
しかし、そののっけから遅刻するはめになってしまい、今年初めての道普請には参加できず。
まだ桜の花びらの舞う棚田の広場で、ごちそう係のムラカミさんとカゲヤマさん達と
お花見のごちそうの豚汁の煮えるのを眺めておりました。

お弁当を食べて、自己紹介。
定年退職後のお父さんの「家にいたら奥さんに怒られるから」という参加動悸が複数。

Cimg374050、60代なんてまだまだ若い。
隠居なんて早すぎる。
経済的にも余裕があって、時間を思う存分自分の思うように使えるゴールデンエイジではないですか。

そんなお話をする間にも桜の花びらに包まれる。
今年も美味しいお米ができますように。


山を下りる帰り道、車が一台、溝に落ちてしまいました。
さあ大変!
Cimg3748地元の農家さんからはどこからか車を引っ張る為のワイヤーを持って来られるし、
車輪の下に噛ます板もいつの間にか登場。
そして、棚田ボランティア仲間達みんながエッサ、エッサ、と力を合わせて無事に車は引き上がったのでした。
本日の仰木ニュースでした。

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2007年12月31日 (月)

棚田の明日ーー棚田シンポジウム

2007年12月22日 草津サンサンホール

Cimg3036棚田シンポジウム開催。
なんと今回で9回目だそうで、会場はほぼ満員御礼。
今回の基調講演としてNPO法人棚田ネットワークの代表、中島峰広氏の講演。
「棚田に吹く風」と題し、全国の棚田の状況と今後の展望をお話しされました。

現在、1970年当時の半分近い棚田が耕作放棄されているそうです。
米の生産調整開始で放棄の速度は加速、政府はそこに杉を植えさせた事もあるのですが、
「棚田杉植えて空しよ手入れせぬ杉の雪折れ谷に朽ちおり」と謡われる有り様で、なお且つ
地域間調整として生産性の悪い棚田は平地の身代わり減反。
(....こう言う事を30年後には、世界で二酸化炭素をめぐって行われることになろうとは想像できたろか)

そういう棚田の現状は1995年まではあまり世間で関心はもたれませんでした。それが。。。
1995年、棚田に吹く風が変わった「棚田ルネッサンスの年」。
司馬遼太郎さんの一言から棚田サミットが始まり、1999年関心の高まりから棚田学会設立、
日本の棚田百選が選定。
…と、その後棚田に対して様々な助成や取り組みがなされる事になったそうです。
農村や行政など以外にも棚田オーナー制度や棚田ボランティアで学生や都市住民の関わりが生まれました。
Cimg3041
今回、新しく注目されたのが企業の「社会的貢献活動」。
紹介されていたのはアストラゼネカという外資系企業。
CSR(社会的貢献)マネジメント部長の前浜氏のプレゼンテーションに「目からうろこだった」という声が棚田の現地からも行政からも。
単に「いい事をしよう」という部では今や社員もソッポなのです。
年功序列も終身雇用もない社内で愛社精神や一体感など持ちにくいもの。
社内運動会など開いた所で「ウザイ」と嫌われる時代に社会貢献としての棚田ボランティアが「三方よし」となっているとの事でした。
ゴミは持ち帰り、決してお客様として参加しない姿勢で、仰木でも「アストラゼネカはたいしたモンだ」と言われてるのを聞いた事があります。
参加した大勢の社員の皆さんの仕事の環境にもプラスになり、今後も継続して参加され、会社にも、作業した里山にも愛着を持たれる、そんなムリのない相互関係が棚田の今後の大きな力として期待されています。

滋賀に関しては「都市に近い」という地の利を生かして欲しい、とのこと。
確かに、大阪から来ても1時間程度の所に仰木はあります。(乗り換え考えたらもうちょっとかかるかもですけど)
個人的には私は外国人に来て欲しいなぁ、と思います。
例えばタイやマレーシアで素朴な島や人里離れたジャングルを訪ねるように、自然を満喫できて、地元の人と触れ合える棚田ボランティアってすごくいいと思うし、いつも参加する人たちにも刺激になると思うんだけどなー。
日本の伝統を知る、、、といえば「京都」だけじゃないですよ〜〜、と対抗心アリ。

最後に棚田百選に選ばれている高島の畑地区、仰木の平尾地区、そして行政、NPOを交えてのディスカッション。

畑の棚田保存会の林さんの言葉が印象に残りました。

『元々外部との接触が少なく、外から来る参加者さんたちにどう接したらいいのか、戸惑いがありました。
棚田百選に選ばれて悲喜こもごも。
オーナー制度のオーナーさんの田んぼを手入れ管理し、どうしても40Kgの米を保証しなければ、という責任が重い事もある。
保全活動の様々なメリットがあっても、活かしきれない。
けれど、これからもなんとかこの地で最低限食べて行きて行きたい。』

また、社会貢献の企業の立場では
『こういう事をすると売名行為と言われる事もあるが、本当に価値ある事をやりたい。
社員も厳しい目を持っている。怪我などして仕事に支障が出てもいけないし、楽しくなければ続かない。』

そう、楽しくなければ、なのです。

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2007年12月 3日 (月)

虫の目/鳥の目―仰木・地図をめぐる視点―

去年のこだわり滋賀ネットワークのセミナー講師の蔭山歩さんの話に魅かれてワタシも仰木を訪れるようになりました。
湖西のにぎやかな161号線からちょっと行けば仰木の棚田に会えるのです。
今森光彦さんの写真でも知られるこの集落の豊かな自然の風景は人の関わりでこれまでもずっと守られ、変化し続けてきた里山。
これからも天国か地獄か。人間のかかわり方次第。
うっすらと不安を抱えながらそれでも美しい今日の仰木の風景を眺めます。

Cimg2942 蔭山さんら成安造形大学の有志で始めた「地蔵プロジェクト」。
そこからできた「鳥の目/虫の目」という仰木の立体地図。
起伏のある仰木の里山を等高線の形に切ったボール紙を重ねて作りました。
カッターで切って手で張り合わす。
東西4キロ、南北3キロの起伏を紙を重ねて立体にするのですから膨大な量です。
Cimg2939大きなテーブルいっぱいの白い地図。
真っ暗な闇の中に置かれたその地図に天井から色んな地図を投影します。
なんだかSF映画みたい。

1947年から今までの航空写真でまるで鳥になって空から眺めるかのように時代の移り変わりを見ることができます。
特に1947年の地図は地元にも残ってないそうで「よおそんなん探してきたなぁ」と地元の農家さんが感心していらっしゃいました。

今はなき江若鉄道が走った時代。やがてJR湖西線ができ、広い道路がどんどん集落に広がり、ニュータウンができる。圃場整備されていき、、、、。
立体地図に写る地図を眺めながらみんなが「あの時」を語ります。
この地図を作った方たちはただ見るだけでなく、眺めながらみんなで語り合うことにこの地図の意義を見ているように思いました。
その他にも、
Cimg2940仰木の昔の地名の地図。
水の流れを映し出す地図。
100メーターごとに区切った升目を重ねる。
などなど、映し出されるたび、仰木の地域に新しい発見があります。
この地図はきっとこれからも仰木の現在過去未来を語ってくれるでしょう。
それには沢山の人に見てもらわなくてはなりません。
まだ大勢の仰木の地域の方々も見ていません。

これって、仰木の宝ですよね!と声を上げる私。

「おまえら、みんなホンマにすごいなー!」と感嘆する地元の農家さん。

Cimg2954 こんな手作りの地図を持つ土地が日本に、世界に、他にあるでしょうか。
他の地の人が手弁当でこんなに色々なことをやろうとする地域が他にあるでしょうか。
こんなにも愛されているのですよ。仰木の里山は。

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